

現場の課題に応える

- 〈M.A.〉
- ものづくりにおける最適なDX化を進める。それがデジコアのミッションだと思うんだけど、ものづくりの現場はいまいろいろな課題を抱えているよね。
- 〈S.K.〉
- DXに限らず、新しい技術がどんどん入ってきています。私が相手にしているお客さんの場合、お客さん独自の作り方とか作業工程とかがあるなかで、そこに得意先のメーカーから新しい技術への対応を求められるわけです。そうした技術って汎用的なもので、そのためにはお客さんのルールをメーカーのルールに沿ったものにしていかなければいけないんですが、それでやるのに時間かかってしまう。下手すると5年くらいかかっちゃう。そうしている間にまた新しい技術が出てくるので、それについていけないっていうのが結構多いですね。
- 〈T.S.〉
- そのスピード感って結構大きな課題になっていますよね。

- 〈H.R.〉
- 確かに、メーカーさんがソフトを新しく入れたけど、でも自社のやり方で全然うまくできない。そこで、いまの作業と新しい技術の間を埋める作業をしてほしいとお願いされることが多いですね。
- 〈M.A.〉
- それって、日本特有の課題かもしれない。そもそも海外での製造のやり方って、ここではこれをやってもらうという風に最初に区分分けされていている。だから、そこだけごっそり入れ替えちゃっても以外とすぐに動くし、新しい技術の導入とかも早い。でも日本ではその中で熟練の作業というのがあって、それをすぐに新しく自動化できないからそこに時間がかかってしまう。それが日本の良いところでもあり、課題でもある。
- 〈S.K.〉
- 日本のものづくりと言うのは、現場に即した細かいところに手が届くようなものづくり。それに対して、欧米はルールを最初にガチガチに決めてその通りつくっていく。日本のものづくりはそういうことをせずに、隙間のところにギャップがあるのを職人さんたちが埋めていて、いまだに手作業でやっていたりするわけです。だから、海外で成功していますと言う触れ込みでものづくりのソフトが来ていたりしても、それが日本では使えないっていうことがあるわけです。

- 〈M.A.〉
- そうしたなかで、それらの隙間を埋めることができるというのがデジコアの強みだよね。いままで現場で手作業でやっていたことをデジタル化しましょうとなったときに、これまでと違う方法でやらなきゃいけないってなると、双方をマッチングする必要があるわけで、極論言うとそれをするのが自分たちの仕事。実はこれって、大手のSIにはなかなかできないことなんだよね。
- 〈T.S.〉
- 確かに、大手SIさんはやりたがらないですよね。製品に特化してソリューションを固めた状態でやりたいんですよ。そうするとナレッジも社内で蓄積しやすいですし、対応もだいぶしやすくなる。
- 〈H.R.〉
- なんで大手が隙間をやりたくないかと言うと、隙間ってあんまり大規模なお金もらえないんですよ。そうなってくると、大手の営業さんってそんな案件取ってもあんまり嬉しくないし。技術者も自分がいまやっている技術に対応できないなぁみたいな案件がたくさん出てくると、あまりやりたがらないということがあるみたいで。

- ソフトウェアっていろいろあるじゃないですか。例えば、お客さんがこれを使っていて、これからデータをここから入れてこっちに出したいという場合、会社が違うとこれやりたいと言ってもサポートしてくれなかったりするんですよ。それがライバル会社同士の場合だったりするとなおさらで。
- 〈M.A.〉
- そうした隙間を埋めることができるというのがデジコアの強みっていったけど、それは、あえてそうした隙間にアプローチすることでお客さんの現場が直面している課題を解決するということなんだよね。
- 〈S.K.〉
- デジコアの強みってなんですかって言うと、現場感があってこその提案ができるとか、CATIAと言うのがキーワードとしてあって、開発を行う際に、そのCATIA開発をマスターしてるからこそ、他社よりも強力な技術力で提案ができるとか。それ以外にも、そもそも技術的に難しい内容であるというか、ニッチすぎてボリュームが結構いびつなために大手SIから断られてしまうような案件も、フットワーク軽めに対応できると。そのあたりがデジコアの一番の強みなんじゃないですかね。

現場を知るからこその提案力

- 〈M.A.〉
- ところで、デジコアの強みっていうけど、ウチはどうしてその強みを発揮することができるんだろう。みんなはどう思う?
- 〈T.S.〉
- 自分たちがそれらの仕事に確実にコミットできる理由ってなんだろうって考えると、現場を知ってるということが大前提としてあるわけです。だからこそ、提案の前にお客さんが使っている難しい用語をパッと瞬時に理解しながら、お客さんが理解できる言葉でしっかり要件整理をする。そして、なるほど現場で言っている事はこんなことなんだとわかったうえで、それをシステムとして提案する。そういうところが他にできない強みになっています。
- 〈S.K.〉
- そして、提案にあたって最初のヒアリングを丁寧に行うこともデジコアの大きな特徴ですよね。しっかりヒアリングして、そして技術者がカスタマイズしたものをお客さんに提案していく。それをお客さんが試してみて、そのフィードバックを受けてそこからまたもう一つ次の段階の提案を出していく。非常に手間暇をかけていくわけですけど、それが強みでもあるわけです。いうなれば、粘りと丁寧さが真のソリューションを実現すると。

- 〈M.A.〉
- あとは、みんなが技術者としてのプライドをしっかり持ってる。そして、みんながそれぞれ設計から運用までカバーできて、それぞれに対応した技術を持っているからからこそ、そういう仕事の対応ができるんだよね。例えば、受けづらいタイミングでの要望、修正が開発終わる間近で出てくることって時々あるけど、大手SIの場合だと技術者は対応できずに、そういう話は営業にしてくださいってなっちゃう。場合にもよるけど、ウチではお客さんの現場がスムーズにいくように、技術者が現場の担当としてしっかり責任を持って対応する。そういうところが、最終的な成果物のクオリティにつながっているんじゃないかな。

- 〈T.S.〉
- さらに、One Teamというビジョンもデジコアならではだと思います。ある仕事をはじめるにあたって、デジコアとお客さん双方からチームリーダーを出し合い、自分たちのチームとお客さんチームの技術者同士で話し合いながら、一丸となって提案をつくりあげ、ブラッシュアップしそれを実現していくわけです。
- 〈S.K.〉
- その際にお客さんからよく言われるのは、私たちの現場に沿った最適なソリューションを統合的に提案してほしいということ。ウチがサポートする場合、例えば、お客さんの設計がここで何々をしています、ここでモデルつくっていますという工程をカスタマイズする時、後の工程ではこれでメッシュ切るから切りやすいようにつくりましょうということができます。それって、お客さんがいろいろなソフトを使うと言う時に、同じ立場でそこを見ることができるからなんですよね。なので、お客さんはこの後にこれを使うからここではこういうことをしたいなぁとか、前の工程でここからデータを取るからというようなお客さんの要望に応えるサポートが可能なんです。

- 〈M.A.〉
- それに関して、何故お客さんがいろいろなソフトを使うと言う時に、同じ立場でそこを見ることができるかといえば、自分たちはいろんな案件やっていて、それぞれの技術者がそういうマルチなものに対応できる知見を持っているってことがある。例えば、AとBというソフトをつなぎ合わせる場合、こうことをすればできるだろうなとある程度予想しながらできる。それに、同じ目的のソフトウェアでも別の種類を扱う機会も多いので、使っているとそれぞれの違いが見えてくる。だから、その前後ろで何が合ってるかということがわかる。お客さんは、それぞれにこだわりがあって、そのこだわりに応えられる特化した提案を聞きたいという要望を持っていることが多いよね。
- 〈S.K.〉
- 確かに、お客さんの現場ってそんなに単純じゃないですから。アプリケーションを導入して終わりではなく、お客さんがそれぞれ歴史として使ってきたA社、B社、C社の製品をくっつけ、統合する必要があります。

- これが難しいのは、例えばCAEとかCADってプログラミング以外の知識の改良が必要ですよね。計算の知識だとか、メッシュを切るとか、それを最終的にどうどういう風に処理するとか、そういう知識を全部統合できなければいけないので、一般のIT企業はなかなか扱えないんです。
- 〈M.A.〉
- 実際いろいろな課題に直面して困ってるお客さんって一杯いるし、その案件は難しいものが多いけど、デジコアがそれをできますと受けるのはやっぱり自信があるからこそなんだよね。
- 〈S.K.〉
- 例えば、ある元請けから下請けの企業へExcelでこういうような仕様書で何々をつくって欲しいと来る。そこで3次元CADソフトのCATIAでモデリングするとして、ポチポチと操作していると時間がかかってしまいます。というのも、そういう指示って相当複雑なパラメータで、しかもドキュメントもものすごくあってそれを全部見比べて図面に書き起こすだけでこれまで何十時間とかかっていたんです。そこで、Excelに書いてある仕様を全部システムで読み込んで、仕様書通りに形状を起こして図面を全部自動で作成し、それを購買だったり工場だったり展開できるようになったという事例があります。

- 〈H.R.〉
- そのほかにも、あるメーカーさんで製品を機械プレスしてつくるんですけど、その時のどのくらい力を入れたらいいかとか、どのくらい力を入れると破断してしまうとか解析を既存のソフトでやっていたんですが、そのソフトを使っている人は製品と解析の知識がいるわけです。そこで、そうした知識がなくても作業ができる自動化のツールをつくりました。それによって、作業自体が早くなったことに加え、ある程度解析のプロでないとできなかったことが、知識がなくてもみんなができるようになり、社内の人員配置について横展開を実現できました。
- 〈S.K.〉
- そのほかにも、CATIAの設計領域の10の工程を3つの工程でできたという事例とか、これまで10時間かけていた作業を30分で終わらせるツールをつくりましょうという提案とか。
- 〈M.A.〉
- デジコアが提供している価値っていうのは、時間短縮の実現ってことかな。そして、時間短縮でできた時間で企業独自のオリジナリティーを追求する取り組みをしてもらうと。そんなことを踏まえて、お客さんにひと言「アプリケーションはカスタマイズが可能です。ご存知でしたか?」って伝えたい。

真のDXを目指すため

- 〈M.A.〉
- 最初に、ものづくりにおける最適なDX化を進める。それがデジコアのミッションだって言ったけど、それについてどう思う?
- 〈S.K.〉
- 先ずは、業務に応じてみんながバラバラの仕事をしているなかで、その標準化を進めて整理して3Dモデルなのか、CAEのデータなのか、結果の報告書なのか、図面なのか、それをデジタル上で標準化し、データ管理を推進してする作業の自動化・効率化します。それにより、機械にできることは機械に任せ、その代わりにより創造的な仕事ができるようになります。そして、もっと企業価値として高めるために、例えばVRやARを用いてデジタルの会議を設定し、いろいろな拠点にいる技術者が1つのモデルを空間上で見ながら検討したり。そうすると、あらかじめ頭の時点で大体の要件が決まるので、後の工程がもっと楽になります。さらに、標準化できなかったデータをシステム化するにあたっては、AIを使ってそれを解決するといったことができるようになるんじゃないでしょうか。

- 〈H.R.〉
- お客さんがDXを目指していくと言う時、いままでやってきた過去のことを捨てないでそれを新しい技術に活かせるようにする。やってきた細かい作業に特化して、今後AIとか自動化する際にそれを引き継ぐというように、いままで培ってきたものを新しい技術でコンバートするそういうところのお手伝いができる。そこにデジコアの新たなビジネスチャンスがあると思います。
- 〈M.A.〉
- 真のDXを目指すために大切なことは、言われたことだけをやるのではないと言うことだと思う。「究極やりたい事は何でしたっけ? 究極やりたい事はこれで合っているんですか? お客さんの目的としてこれがあるんですよね?」と聞く。そういう視点が重要で、そういうのを踏まえてシステム化してあげると使えるものができるようになる。逆にそれをしないと使えないシステムになってしまう。1年後使えないとか、実装してみたらこのモデルでは使えていたのに別のモデルの機種には使えないよくあるよね。他のケースも推測してある。こういうケースも使いたいのではというふうに推測して、徹底したヒアリングすること。それが真のDXを実現するために必要不可欠なことであり、デジコアの強みでもあるんじゃないかな。

